医療法人 絹谷産婦人科

2022.02.28

「胚移植後の安静、その後の過ごし方」についてのお知らせ

胚移植後の安静、その後の過ごし方」について

  患者様より「胚移植後は安静にした方がいいですか?」というご質問を受けることがあります。胚移植後に安静にしないことで、胚がうまく着床できないのではと不安に思われる方も多くいらっしゃると思います。こうした患者様の不安も考慮し、これまで当院では胚移植後は約30分間ベッド上で安静にしていただいてきました。

 しかし近年、胚移植後の安静時間に関する論文がいくつか発表され、胚移植後1030分間安静にしていた群と、全く安静にしなかった群で、臨床的妊娠率、継続妊娠率に差はなく、生児出産率は安静にしなかった群の方がやや高い傾向にあったと報告されています。また、安静を保つことがかえってストレスになる可能性が考えられると考察されています。

 それらを踏まえ、今後当院では、胚移植後の安静を原則とりやめることに致します。もちろん、安静にした方が安心と思われる方は、状況に応じてご希望に沿わせていただきますので、スタッフまでお声がけください。

 また、胚移植後から妊娠判定日までの間、特に日常生活を制限する必要はありません。いつも通り、ご自身のペースで生活していただく方が、ストレスの軽減には良いと思われます。

 以上、胚移植後の安静について変更をさせていただきます。どうか皆様のご理解ご協力をよろしくお願い致します。

                     20222月28日

                     絹谷産婦人科 院長 絹谷 正之

参考文献:Purcell, Karen J., et al. "Bed rest after embryo transfer: a randomized controlled trial." Fertility and sterility 87.6 (2007): 1322-1326.
Gaikwad, Sharayu, et al. "Bed rest after embryo transfer negatively affects in vitro fertilization: a randomized controlled clinical trial." Fertility and sterility 100.3 (2013): 729-735.